ハヤトが死んだ。うちの三男だったハヤトが。13年と半年。犬にしてはかなりの長生きだった。

　ちょうど一ヶ月ほど前、俺が入院したとき、そういえば大雪の日だった。その日にハヤトは血尿を流して倒れていたらしい。俺が退院して家に帰ると、考えられないくらい元気のないハヤトが家の中にいた。そのときからかなり弱っていたのは知っている。ここ一ヶ月家に帰ってきても、呼びかけても、こっちを見るだけで今までみたいにしっぽ振って元気よくよってくることはほとんどなかった。ハヤトを見るたびに「生きてるか？」っていつも呼びかけてた。
　けど、ハヤトが死ぬなんて思ってなかったんだろう。まだ我が家に誰か来ると相変わらず吠えてたし、なんだかんだ言って暖かくなれば元気になるんだろう、そう考えていたのかもしれない。

　確かにここ数日毎朝見てたけど、呼吸も苦しそうで、弱っていた。そして今日、帰りの電車の中で父から「寝てたと思ったら死んでた」とメールが。
　思いは複雑だった。とりあえず、苦しかったんだろうな、と思ったとき、電車の中にもかかわらず泣いてしまった。そして今までのことを思い出すとまた泣いていた。
　家に帰ってみると、玄関にダンボールが置かれていた。ハヤトだった。帰ってすぐ見ることができず、気持ちを落ち着けてから見るようにした。箱を開けてみるとハヤトが寝ているように入っていた。ものすごい悲しかった。
　以外にも、我が家は落ち着いていた。埋葬とかの手続きは済ませてあるみたいだった。なんだか泣いているのは俺だけだったみたい。

　ものすごくうるさくて、バカ犬だったハヤト。雷の時とかはものすごく怖がっていたハヤト。散歩に行くとものすごい力でわが道を行っていたハヤト。一見バカそうだったけど、ものすごく賢かった。
　13年、俺が中学生の時からいたのかぁ。ものすげー長い付き合いだった。なんかハヤトにしてあげられたかよくわからないけど、すげー大好きだった。とりあえず、ありがとう。

　とりあえず年度末の締めで昨日は初の残業。仕事が忙しい中、体も疲れてるけど、とりあえずめっちゃ悲しい。ここのところ薬を飲まないでも全く問題なく寝れたけど、今日はそうもいかないみたいだ。